前回ドラゴンクエストの話を書きましたが、ドラゴンクエストというと「ゲームデザイナー」の「堀井雄二」さん、「キャラクターデザイン」の「鳥山明」さん、「ゲームディレクター・プログラマー」の「中村光一」さん。
そして、「音楽プロデューサー」の「すぎやまこういち」さんが居なければこの作品が世に出ることは無かったんじゃないかなとさえ思います。
すぎやまこういちさんは、ドラクエの楽曲で有名ではあるが、実はラジオ局に勤め、その後テレビ局に入社するという業界マン。
フジテレビ時代には「ザ・ヒットパレード」「ドレミファドン」など数多くの音楽番組に携わり、退社後には、「ザ・タイガース」「ザ・ピーナッツ」を作曲家として支え、「ガロ」の「学生街の喫茶店」や「ヴィレッジ・シンガーズ」の「亜麻色の髪の乙女」など数多くの名曲を残している。
すぎやまこういちさんがドラクエ音楽に携わる事になったきっかけで有名なのは、エニックス(現スクウェア・エニックス)が作っていた将棋ゲームのアンケートはがきに「音楽が入っていないから、何とかしたら」と意見を送って、それに気付いたエニックス社員がすぎやまこういちさんに次回作(ドラクエではない)のオファーをしたことがきっかけだったらしい。(某新聞インタビュー)
「聞き減りのしない音楽を」。
ゲーム音楽は同じ楽曲を何度も何度も聞き続けるもの、だからこそ聞き減りのしない、つまり飽きの来ない曲を選曲するべき。
クラシックという楽曲が今もなお愛されているのは、クラシックが聞き減りのしない音楽だからこそ。ドラクエの曲がクラシックをイメージして作られているのはそこにあるのだとか。
当時のファミコンはとにかくゲームデータに制限があり、音楽は2トラックしか使えなかった。そんな制約の中でクラシックを表現することをやってのけたわけです。
当時のゲーム音楽の担当者は、少ないデータ数で音楽をゲームに乗せることを大変苦労して行っていたそうだが、すぎやまこういちさんは「言ってみれば、バッハの無伴奏パルティータなんていうのは、1トラックで立派な音楽作ってるわけですから。文句は言えない。」と、その制約を乗り越えていたのだそうだ。
「2トラックで音楽表現できなかったらプロじゃないぞという、逆に意地になって頑張った部分もあって。」とも語っているとか。
自分がドラクエの音楽で一番好きなのは「この道わが旅」。
この曲はドラゴンクエスト2でエンディングに流れる曲として有名。
今やっているドラゴンクエスト10でもエンディングなどに採用されるほど。
自分が旅をしてきた思い出を振り返るときにこの音楽が流れるわけだ。
それはもう号泣で、あふれる涙や鼻水をぬぐいつつ、最後を迎える。
もちろん、1~11までそのたびの中で気に入る曲ばかりなわけだけど、何だろう、この道わが旅が流れると涙が止まらない。序曲もそう。
実は序曲は1~11を聞き比べると、それぞれが同じようで違う。そのアレンジを聞き比べるのもまたいいわけなんだけど、自分としてはわくわく感をかんじるのは10。これから始まる物語の壮大さを感じ取るなら11って感じだろうな。
堀井雄二さんが「人生はロールプレイング」と語ってるように、その人生の中でずーっと寄り添いつづけてきてくれたのが、音楽であるといえる。
「もう死ぬまでこのゲームの音楽を作っていこうとライフワークになった。この音楽が担当できてよかった。僕は音楽業界でゲームに一番強い男、このタイトルを頑張って守っていきたい」
すぎやまこういちさんは、このようにインタビューに答えているそう。
ドラクエ12ですぎやまこういちさんの作曲人生は終わりを迎えることになってしまったが、引き続きドラゴンクエストというゲームの中で、様々なアレンジが加えられて、すぎやまイズムが継承されて、素敵な音楽を生み出していって欲しいなと思う。
すぎやまこういちさんに思いを馳せて…
kenmi